安堵の電話 とくちゃん@名山堀 鹿児島
2011年10月25日
大丈夫だっただろうか。心配になって夕刻お店に電話を
入れてみる。先日お邪魔したときに、帰り際おかあさんに
教えてもらった電話番号にだ。
呼び出し音が続く。本来なら、もうお店を開けている筈なの
に、なかなか応答がない。もしかしたら、と不安な気持ちが
よぎる。何回か呼び出し音が続いて、あきらめかけた頃、
なつかしいおかあさんの声が聞こえてきた。
その知らせは、実家の父親が、がんの手術をすると言うので、
母親ひとりでは大変だろうと、病院への付き添い、手術に立ち
会うため帰省中の新幹線のなかで、見咎めたからだった。いさ
さか沈んだ気分のなかで、車内の電光表示ニュースに「鹿児島
の名山堀、火災に。」を見たときは、まさか、との思いが、残像に
ように重なったおかあさんの笑顔とともに、ざわざわとよぎる。
父親の手術は、思いのほか時間がかかったものの、無事終わって、
経過が良ければ2週間後には退院できる見込みがたって、少しは
気が晴れて熊本に戻ってきた。だが、気がかりなことが一つ、いつ
までも消えない刺。それがささったような痛みが続いていた。それ
ならば、と言うことで、電話をしたのだ。
おかあさんは、思いがけない電話にうれしそうな声を出すが、すぐに
声をひそめるような気配ももたせつつ、3軒となりのお店から火が出て、
全焼が2軒、半焼が3軒ばかり出たのだと言う。いっとき、自分の店も
駄目かと、覚悟を決めたらしいが、消防署のおかげで、類焼を最小限に
止めてくれたのよと言っていた。
電話をかけた時に、お店のお客さんとまさにその火事の話に
なっていたのだと言う。ちょうど1ヶ月ほど前に熊本からお店に
伺った者と告げると、「ああ、あのときの。」思いだしてくれた
みたいだった。その日は、カウンターに初老のおじさんと僕の
ふたりっきりだった。自衛隊に入っていたと言うそのおじさんは
熊本にも何年かいたとのことで、なつかしそうに話してくれた
っけ。
「安心しました。近いうちに、楽しみにお邪魔しますね。」
「電話、遠くからありがとうね。いつでもいらっしゃい。待って
るからね。」
入れてみる。先日お邪魔したときに、帰り際おかあさんに
教えてもらった電話番号にだ。
呼び出し音が続く。本来なら、もうお店を開けている筈なの
に、なかなか応答がない。もしかしたら、と不安な気持ちが
よぎる。何回か呼び出し音が続いて、あきらめかけた頃、
なつかしいおかあさんの声が聞こえてきた。
その知らせは、実家の父親が、がんの手術をすると言うので、
母親ひとりでは大変だろうと、病院への付き添い、手術に立ち
会うため帰省中の新幹線のなかで、見咎めたからだった。いさ
さか沈んだ気分のなかで、車内の電光表示ニュースに「鹿児島
の名山堀、火災に。」を見たときは、まさか、との思いが、残像に
ように重なったおかあさんの笑顔とともに、ざわざわとよぎる。
父親の手術は、思いのほか時間がかかったものの、無事終わって、
経過が良ければ2週間後には退院できる見込みがたって、少しは
気が晴れて熊本に戻ってきた。だが、気がかりなことが一つ、いつ
までも消えない刺。それがささったような痛みが続いていた。それ
ならば、と言うことで、電話をしたのだ。
おかあさんは、思いがけない電話にうれしそうな声を出すが、すぐに
声をひそめるような気配ももたせつつ、3軒となりのお店から火が出て、
全焼が2軒、半焼が3軒ばかり出たのだと言う。いっとき、自分の店も
駄目かと、覚悟を決めたらしいが、消防署のおかげで、類焼を最小限に
止めてくれたのよと言っていた。
電話をかけた時に、お店のお客さんとまさにその火事の話に
なっていたのだと言う。ちょうど1ヶ月ほど前に熊本からお店に
伺った者と告げると、「ああ、あのときの。」思いだしてくれた
みたいだった。その日は、カウンターに初老のおじさんと僕の
ふたりっきりだった。自衛隊に入っていたと言うそのおじさんは
熊本にも何年かいたとのことで、なつかしそうに話してくれた
っけ。
「安心しました。近いうちに、楽しみにお邪魔しますね。」
「電話、遠くからありがとうね。いつでもいらっしゃい。待って
るからね。」