おてもやんTOPへおてもやんトップへ
おて姫からのお知らせ
今すぐブロガーになろう!メンバー登録はこちら

スポンサーサイト

上記の広告は90日以上記事の更新がないブログに表示されます。新しい記事を書くことで、こちらの広告が消せます。

  

Posted by おてもやん at

穴子の塩焼 そしてそれに関する感慨 との村@馬喰町

2010年02月08日

穴子と聞くと、煮穴子に詰めをさっと塗ったものか、
穴子を蒸し上げて表面をあぶって塩を振ったものの
にぎりか、もしくは穴子の煮凝りあたりが、きまって
頭のなかをよぎるが、この時期ならではの油の乗った、
しかも身の厚みがしっかりとあるものなら、シンプルでは
あるが、塩焼きに勝るものはないであろう。

ただし、新鮮なものに限る。その新鮮なものをなまから
それも炭火であぶったものに限る。

十分に落ち着きかけた炭火の遠火でじっくり焼き上げた
あつあつをほおばると、やわらかく煮上げた穴子のように
ほろほろ崩れ落ちるのでなく、しっかりとした歯ごたえ
がまず来て、そのすぐあとに穴子独特の甘みの風味が
口いっぱいに充満してくる。噛んでいるうちに、その油の
甘みと歯ごたえのある身が混ざり合って、陶然とした
気分にさせられる。純米酒のお燗酒で、さっと口のなか
を漱いで、また焼き立てをぱくり。うーん、たまらない。

この味を知ってしまったからには、他の穴子は食べられ
なくなってしまいそうな危険な感じがある。あとのおすすめは
しゃぶしゃぶでさっと火を入れたものを、味が分からなく
なってはいけないので、味の薄めのポン酢で頂くぐらい
だろうか。

いやはや、それにしても、穴子は塩焼、これに尽きる。

そういえば、うなぎのさばき立てを蒸さずにそのまま焼き
上げて出してくれるうなぎやが、東京ではめずらしく馬喰町
界隈にあって、そこに何度か足を運んだことがある。との村と言う、
4~5人もすれば一杯になってしまうような小さな店だが、確か
な味のうなぎを出してくれる。

ゆっくりとでも確実にうなぎをさばいて行く様をながめながら
枝豆のような簡単なつまみでビールをすすっている時間が
ことのほか幸せに感じる。焼きに入ると、店先の焼き台の
方におやぢさんは身をかくしてしまうので、焼きの姿は見え
ないが、かかっているテレビを見ながら、おかみさんと
とりとめのない世間話で過ぎて行く時間も捨てがたい味がある。

長年の経験なのか、焼き上がり間近になると声をかけられ
なくてもそれが分かるのか、おかみさんはきっとごはんを
よそい始め、おつゆの準備に取りかかる頃、無口なおやぢ
さんが、焼き台の方の扉を引いて、こうばしく焼き上がった
うなぎをおかみさんに手渡すのだ。

うなぎと言えば東京にいると蒸し上げてから、焼いたもの
になるのだが、新鮮なものなら穴子と同じようになまから
焼き上げたものの方が味としては勝るのかも知れない。

そう言った意味では、関西で味わううなぎの方が良いと
言えるといえるだろう。東京のうなぎにもそれなりの味わい
があると思っていたが、こうして穴子をなまから塩焼きに
したものの味を知ってしまったからには、ずいぶん損を
してきたような気がする。  


Posted by こむこむ at 17:57Comments(2)ボヘミアン記