穴子の塩焼 そしてそれに関する感慨 との村@馬喰町
2010年02月08日
穴子と聞くと、煮穴子に詰めをさっと塗ったものか、
穴子を蒸し上げて表面をあぶって塩を振ったものの
にぎりか、もしくは穴子の煮凝りあたりが、きまって
頭のなかをよぎるが、この時期ならではの油の乗った、
しかも身の厚みがしっかりとあるものなら、シンプルでは
あるが、塩焼きに勝るものはないであろう。
ただし、新鮮なものに限る。その新鮮なものをなまから
それも炭火であぶったものに限る。
十分に落ち着きかけた炭火の遠火でじっくり焼き上げた
あつあつをほおばると、やわらかく煮上げた穴子のように
ほろほろ崩れ落ちるのでなく、しっかりとした歯ごたえ
がまず来て、そのすぐあとに穴子独特の甘みの風味が
口いっぱいに充満してくる。噛んでいるうちに、その油の
甘みと歯ごたえのある身が混ざり合って、陶然とした
気分にさせられる。純米酒のお燗酒で、さっと口のなか
を漱いで、また焼き立てをぱくり。うーん、たまらない。
この味を知ってしまったからには、他の穴子は食べられ
なくなってしまいそうな危険な感じがある。あとのおすすめは
しゃぶしゃぶでさっと火を入れたものを、味が分からなく
なってはいけないので、味の薄めのポン酢で頂くぐらい
だろうか。
いやはや、それにしても、穴子は塩焼、これに尽きる。
そういえば、うなぎのさばき立てを蒸さずにそのまま焼き
上げて出してくれるうなぎやが、東京ではめずらしく馬喰町
界隈にあって、そこに何度か足を運んだことがある。との村と言う、
4~5人もすれば一杯になってしまうような小さな店だが、確か
な味のうなぎを出してくれる。
ゆっくりとでも確実にうなぎをさばいて行く様をながめながら
枝豆のような簡単なつまみでビールをすすっている時間が
ことのほか幸せに感じる。焼きに入ると、店先の焼き台の
方におやぢさんは身をかくしてしまうので、焼きの姿は見え
ないが、かかっているテレビを見ながら、おかみさんと
とりとめのない世間話で過ぎて行く時間も捨てがたい味がある。
長年の経験なのか、焼き上がり間近になると声をかけられ
なくてもそれが分かるのか、おかみさんはきっとごはんを
よそい始め、おつゆの準備に取りかかる頃、無口なおやぢ
さんが、焼き台の方の扉を引いて、こうばしく焼き上がった
うなぎをおかみさんに手渡すのだ。
うなぎと言えば東京にいると蒸し上げてから、焼いたもの
になるのだが、新鮮なものなら穴子と同じようになまから
焼き上げたものの方が味としては勝るのかも知れない。
そう言った意味では、関西で味わううなぎの方が良いと
言えるといえるだろう。東京のうなぎにもそれなりの味わい
があると思っていたが、こうして穴子をなまから塩焼きに
したものの味を知ってしまったからには、ずいぶん損を
してきたような気がする。
穴子を蒸し上げて表面をあぶって塩を振ったものの
にぎりか、もしくは穴子の煮凝りあたりが、きまって
頭のなかをよぎるが、この時期ならではの油の乗った、
しかも身の厚みがしっかりとあるものなら、シンプルでは
あるが、塩焼きに勝るものはないであろう。
ただし、新鮮なものに限る。その新鮮なものをなまから
それも炭火であぶったものに限る。
十分に落ち着きかけた炭火の遠火でじっくり焼き上げた
あつあつをほおばると、やわらかく煮上げた穴子のように
ほろほろ崩れ落ちるのでなく、しっかりとした歯ごたえ
がまず来て、そのすぐあとに穴子独特の甘みの風味が
口いっぱいに充満してくる。噛んでいるうちに、その油の
甘みと歯ごたえのある身が混ざり合って、陶然とした
気分にさせられる。純米酒のお燗酒で、さっと口のなか
を漱いで、また焼き立てをぱくり。うーん、たまらない。
この味を知ってしまったからには、他の穴子は食べられ
なくなってしまいそうな危険な感じがある。あとのおすすめは
しゃぶしゃぶでさっと火を入れたものを、味が分からなく
なってはいけないので、味の薄めのポン酢で頂くぐらい
だろうか。
いやはや、それにしても、穴子は塩焼、これに尽きる。
そういえば、うなぎのさばき立てを蒸さずにそのまま焼き
上げて出してくれるうなぎやが、東京ではめずらしく馬喰町
界隈にあって、そこに何度か足を運んだことがある。との村と言う、
4~5人もすれば一杯になってしまうような小さな店だが、確か
な味のうなぎを出してくれる。
ゆっくりとでも確実にうなぎをさばいて行く様をながめながら
枝豆のような簡単なつまみでビールをすすっている時間が
ことのほか幸せに感じる。焼きに入ると、店先の焼き台の
方におやぢさんは身をかくしてしまうので、焼きの姿は見え
ないが、かかっているテレビを見ながら、おかみさんと
とりとめのない世間話で過ぎて行く時間も捨てがたい味がある。
長年の経験なのか、焼き上がり間近になると声をかけられ
なくてもそれが分かるのか、おかみさんはきっとごはんを
よそい始め、おつゆの準備に取りかかる頃、無口なおやぢ
さんが、焼き台の方の扉を引いて、こうばしく焼き上がった
うなぎをおかみさんに手渡すのだ。
うなぎと言えば東京にいると蒸し上げてから、焼いたもの
になるのだが、新鮮なものなら穴子と同じようになまから
焼き上げたものの方が味としては勝るのかも知れない。
そう言った意味では、関西で味わううなぎの方が良いと
言えるといえるだろう。東京のうなぎにもそれなりの味わい
があると思っていたが、こうして穴子をなまから塩焼きに
したものの味を知ってしまったからには、ずいぶん損を
してきたような気がする。