おやぢさんと二人きりになって 磯くら@新市街

こむこむ

2010年08月12日 18:45

新市街の一角に、うなぎの寝床のような奥行きのある
狭い間口の建物がある。入口には、やたい村と書かれた
紅白の提灯がぶら下がっているのだが、気が付かないで
通り過ぎかねないほどの佇まいの。

その建物の一番奥にあるお店が磯くらさん(確か)。普通の
人なら、そんな奥まったところに入りこむことはないと思う
のだが、世の中には、自分のようにそこにキケンが潜んで
いるかも知れないのに、好んで踏み入れる酔狂な輩が
いるんですな、これが。

それでも、まったく知らないお店に入るのは勇気が要る。
なかを覗こうとしても、大抵のれんや、入口の扉がすりガラス
になっていてそれらが邪魔になって、窺い知ることは叶わない
ものなのだ。

でも。思い切って。

戸を開ける。こんばんわー。店主と目が合う。1人ですけど、
大丈夫ですか?

カウンターだけの、しかも6~7名で一杯になってしまい
そうなこじんまりとしたお店。3人の親子連れとやや曰く
ありげなカップルが先客にいたから良かったようなものの、
お客がいなかったら、多分開けた扉をそのまま閉めて
ご辞退してしまいそうな感じの、後で聞いたのだが、一見さん
を入れることはあまりないらしく、結局入らず仕舞いになって
しまいそうな、そんな雰囲気のお店であった。

店主が、どうしたものか、一瞬だが明らかに逡巡した表情
を見せたが、どうぞと席を勧めてくれる。

えーっと、まずは生ビールお願いします。

目の前には、仕入れた魚が、しかもそれなりの値段の
しそうなもののように見受けられ、お品書きの黒板には
値段が書かれていない(つまり、時価?)、むむむ、
困ったことになったか?と心のなかで呟いている。

だって、店主、ちょっと見た目怖そうなんだもん(笑)

様子見を決め込み、親子連れ、と言っても70歳ぐらいの
お父さんとその息子さん(かな?)とお嫁さんや、カップル
の店主とのやりとりや、うらやましいと思っているのだろうか、
お父さんがカップルの彼氏の方をいじるような話を聞くともなく
聞くことにしたのである。

えーと、正直言うと、話の半分も分からないぐらい、熊本弁が
きつくて。まだ、こちらに来て1年と半分ぐらいですからね。
でも、お国言葉のなかに包まれる感覚は決して悪くはない。

ときおり、下ネタも飛び出して、笑ったりしているうちに、
少しづつなごんでくる。僕にも、流れ弾が飛んできて、
いやあ、実は、初めての店で、いったいいくらぐらいかかる
店なんだろうと、ずっとドキドキしてて、なんて正直に
答えるもんだから、店内がどっと沸いたりして(テヘヘ

相変わらず、カップルの彼氏は、いじられまくっている。

肴をなににするか、さんざ迷ったあげく、手羽焼きならそんな
値段にはならないだろうと、それをやっとこさ注文し、焼酎の
水割りを頼むことにする。

じっくりと焼き上がった手羽先のおいしいこと。あっさりしている
のに、コクがある。きれいに食べきったら、カップルのおねえさん
の方から、ずいぶんときれいに食べますねえ、とほめられた。(*゚▽゚)ノ

親子連れが平すずきのアラの味噌汁で〆、カップルもそうめんで〆
ると店主とふたりきりになる。もう、お客がこないと思ったのか、
カウンターの方に来て、自分も飲むんだとばかりに注いだ
生ビールのグラスを手にして、世間話になるのかな、僕といろいろ
やりとりを。何を話したのか、ここでは書かない。

生ビール1杯、焼酎2杯、お通しに手羽先塩焼で、2,900円。
ずいぶんと加減してくれたんだろうな、おやぢさん。

ごちそうさまでした。今度は、もっと腰を落ち着けて飲みたい
ですね。


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