お雑煮は穴子出汁で

こむこむ

2013年01月09日 18:39

生まれは福井県。田舎のお雑煮は、白みそ(田舎
みそと言った方が近いか)に丸いお餅、具は蕪が
入るぐらいのいたってシンプルなもの。食べる
直前に花かつおを振り掛ける。

鍋に水を張り、昆布といりこを入れて、しばらく
置く。ほどよく昆布といりこの旨みが溶けだしたら、
火にかけ、蕪と丸餅を煮ていく。餅が、鍋底にくっ
つくといけないので、それが厭なら白菜を敷くと
良いだろう。餅と蕪が煮上がる直前に味噌を溶く。

なつかしい味である。

食感が程良く残るように、蕪と餅を煮上げるのは、
意外に難しいものだ。煮過ぎて、ぐずぐずになった
蕪に、溶けかかった餅と言うのも頂けないし、早
過ぎて火の通りが十分でない、歯にあたるような
蕪に、固い餅の取り合わせも興醒めである。

父親が、そのタイミングを逃すまいと、毎年のよう
に鍋の前で腕組みをしながら立っていた。

そんな事を思い出している。

一方、関東風のお雑煮は鶏ガラのスープベースの
すまし汁に焼いた切りもち、鶏肉、戻ししいたけ、
にんじん、それに茹でた小松菜あたりが入るのが
一般的だろうか。これはこれで、さっぱりとした
味わいがあって、嫌いではない。

そこで、熊本でどういうお雑煮を食べるかと言う
ことになる。来てまもない頃は、水前寺もやしとか、
を買い求めて、熊本風にもチャレンジしたものだが、
今回は、独自路線を行くことにした。

いつもの年末間近の田崎市場。良い穴子があると
言う。油の乗った穴子。塩焼き(白焼き)に限る
と最近つくづく思うのだが、その骨と頭で取った
出汁が、これまた実にうまいのだ。

ならば、とその出汁を使って、お雑煮にしては
どうかと。丸餅を焼き、それにさっと煮た穴子
を加え、後は関東風に戻ししいたけ、にんじん、
小松菜を添えれば、新たな味わいのお雑煮になった。

汁をすすって、熱燗をぐびり。穴子を齧って、熱燗
をぐびり。良い酒の肴にもなる。

流石にこれだけでは、物足りないので、こんな肴を
あしらってみた。


煮豆とさつま揚げは外で買い求めたものだが、それ
以外は、一応手作りである。と言っても、かずのこ
は塩抜きしたものを、小さく割いて、かつおぶしで
和えただけのものに過ぎないが(笑)

一番手間暇かかっているのは、からすみだろうか。
しかも、3年物(笑)

とにもかくにも、こんな肴をつまんで、熱燗を朝っ
ぱら頂けるのは正月ならではである。存外、冷え込み
の厳しい年明けの熊本になったこともあって、熱燗
がやはり良い。


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